量子囲碁

上地 将平

目次

「囲碁」の概要

囲碁は,最も古いボードゲームの1つです。
もとは占星術の道具であったとか[要出典]
石を軍隊に見立てて動かしていたとか言われています[要出典]

(一般には 19 ×\times 19 本の)(直交)格子線上で,
全格子点に占める「石」や「地」の割合を競います。


(画像引用:「源氏物語絵巻」)

「純碁」のルール説明

現在「囲碁」には様々なルールが存在し,
各国プロ組織によって異なったルールを採用しています。

また現行のルールでは勝敗が未定義の局面が存在し,
それを避けるための提案が存在しています[1]

ここでは,最も単純なルールである「純碁」について説明します[2]

「純碁」のルール説明(1/8)

「純碁」の勝利条件

「純碁」では,ゲームを終えたとき碁盤上に残っている「石」の数を競います。

「石」の残数の多いプレイヤーの勝利です。同数の場合は引き分けとします。

「純碁」のルール説明(2/8)

道具

「1日1ツイートで囲碁ルールを説明したら何日で伝えられるか〜1日目」
まず、どこのご家庭にも必ず1つはあるであろう碁盤と碁石を用意します。
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— 万波奈穂 (@naonao_myu) April 14, 2020

「純碁」のルール説明(3/8)

ゲーム開始

線の交点に,黒から一手ずつ交互に打っていきます。

味方の石どうしは,碁盤の線を通じて隣り合っていれば「つながっている」ことになります。


画像:石のつながりのイメージ
— とろろ (@tororo2048) May 17, 2020

「純碁」のルール説明(4/8)

石を囲む

相手の石やそのつながっている一団を自分の石で囲めば、
その石を取ることができます。

「囲む」とは,碁盤の線を通じて隣接している交点をすべて自分の石で埋めることです。

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端の石,つながった石の囲み方 — 万波奈穂 (@naonao_myu) April 30, 2020, May 2, 2020

「純碁」のルール説明(5/8)

コウ(劫)

取る・取られることが繰り返される箇所は、
相手が取ったあと、すぐには取り返せません。

このような箇所を「コウ」と言います。

height:280
取る・取られることが繰り返される箇所 — 日本棋院 囲碁の基本:囲碁の打ち方

「純碁」のルール説明(6/8)

ゲーム終了

打ちたいところがなければ、パスできます。
(パスしたあとでも、相手が打てば、また打つことができます)

両方続けてパスすればゲーム終了です。
最後、盤上にある石を数え、多いほうが勝ちとなります。

height:200
終局図(黒 24 個,白 21 個で黒の勝ち)— 純碁 10分で覚えられる囲碁

「純碁」のルール説明(7/8)

やってみよう!

ブラウザゲーム COSUMI https://www.cosumi.net/play.html

board size 勝敗 Replay
1 引き分け 0 双方パス
2 引き分け 0 黒 A1, 白 B2
3 黒勝ち 8 黒 B2
4 引き分け 0 参考文献 [4]
5 黒勝ち 24 https://bit.ly/2AG3qUY
6 黒勝ち 3 https://bit.ly/38DorMJ
「純碁」のルール説明(8/8)

「純碁」ルールで勝敗の定まらない形

「黒が全局的には不利だが白石を取れば逆転できる」といった場合において,
以下のような図になった場合,黒白双方譲らず,同一局面が反復します。

日本囲碁規約[3]では慣例に則り,双方の合意のもとで「無勝負」としています。

height:200 height:200 height:200
左から,三劫,循環劫,長生の図 — 日本囲碁規約逐条解説

【閑話】

信憑性に乏しい与太話をします(時間がなければ飛ばします)

(画像引用:https://thecatapi.com

【閑話】(1/3)

囲碁のチューリング完全性について

コウを利用することで,碁盤上の点を stack として push/pop を実装できるので,
碁盤を 広く 取れば囲碁はチューリング完全です。

黒先白死かつ白先白活の詰碁を考えます。
入力 {\{黒, 白}\} に対して,出力 {\{ 白石の死, 白石の生 }\} が得られる論理演算子とみなせます。

同様に局面を限定すると,
{\{ ある箇所へ石を置く石の色 }\} を入力として {\{ 勝敗 }\} を出力する論理回路が得られます。

このことから,碁盤を 多く すれば囲碁はチューリング完全です。

また,一般的な2入力の論理回路およびそれを利用した全加算器が作成できることは
関翔一さんによって示されています(Twitter, #囲碁計算機)。

【閑話】(2/3)

囲碁用語から一般的に使われるようになった言葉

  • 一目置く:弱いほうがハンデとして先に石を置くこと
    • 二目以上では定められた場所に「置き」ますが,一目の場合は「置く」ではなく「黒を持つ」と言います :P
  • 白黒つける(黒白を争う):白石と黒石で争うことから
  • 素人・玄人白人(しろひと)黒人(くろひと)から(定説)。古代は黒が上手だった(囲碁以外とする説有)
  • 駄目:打っても意味のない「目(交点)」のこと
  • 布石:序盤で,有利なように石を配置する(()く)こと
  • 名人:天正6年,織田信長が本因坊算砂のことをそう呼んだことから
【閑話】(3/3)

三劫に関する逸話 [要出典]

天正 10 年,寂光寺において名人とされた本因坊算砂と利玄との対局がありました。
織田信長がこの対局を観戦していましたが,珍しい三劫が発生し無勝負となりました。
(注:現代のプロの公式戦では,およそ 1 // 9,000 局の確率)

その夜,本能寺の変が起こったことから,三劫は不吉の前兆とされるようになりました。
(注:長生や五劫は永劫の時をあらわすため縁起がよいとされる)

ところで,この逸話は後世の作り話であるとする説が有力です。

— この後に算砂は,豊臣秀吉からは 20 石 10 人扶持を,
江戸幕府からは 50 石 10 人扶持を与えられます。
さらに碁所,将棋所の最高位に就くとともに,囲碁家元,本因坊家の始祖となりました。

閑話休題

(画像引用:https://thecatapi.com

「量子囲碁」の概要

「量子囲碁」は,古典囲碁の構成要素を不確定なものに拡張するルールの総称です。

公式化されたルールも,普及したルールもありません。

私は東工大囲碁部の主将に教えていただいたのですが,
それ以前に自力発見(作成?)もしています。

石を重ね合わせたり,もつれさせたりすることが多いようですが,
碁盤の大きさや形を不確定なものにしたり,石の色を不確定なものにしたり,
様々なルールが存在しています。

「量子囲碁」のルール説明

いくつかルールを紹介します。

「量子囲碁」のルール説明(1/4)

私の提案するルール

まずは,私が既存の碁盤と碁石のみで人間にも遊べるように作成したルールです。

  • マスをつくる4交点のいずれにも石がない場合
    線の交点に石を置く代わりに,マスの中央に石を置くことが 可能 です
    height:200
  • 上のように置かれた石 ☆ の周囲の4交点のいずれかに石が来た場合は,
    ☆ を置いた プレイヤー は,残る3交点のいずれかに ☆ を 必ず移動 します
  • 移動する石が複数ある場合は,置かれた順番に移動します(ここが欠点)
「量子囲碁」のルール説明(2/4)

東工大主将の提案したルール

対局者の意思ではなく,確率的に位置が決定されます。

  • 線の交点に石を置く代わりに,マスの中央に石を置くことが 可能 です
  • そのように置かれた石 ☆ の周囲の交点のいずれかに石が来た場合は,
    残る交点のいずれかに ☆ を 移動してもよい
  • 移動することを決めた場合は,サイコロ等によって 確率的 にその位置が決定されます

お察しの通り,とても難しいです。

囲碁を確率的なゲームにしてしまうのが斬新です。
こちらの方がより「量子的?」
(注:「量子的」とは何ぞやという質問には答えられません)

「量子囲碁」のルール説明(3/4)

「Quantum Go」で定義されているルール [5]

隣接4点ではなく,任意の2点に entangled できます。

  • 石を置く際に,自由な2つの交点に置きます(entangled stones)
  • そのように置かれた石 e1, e2 と隣接する8つの交点のいずれかに石が来た場合は
    e を置いたプレイヤーは e1, e2 のいずれかを取り除かなければなりません

(注:囲碁の平均手数はおよそ 200~250 です)

height:200(図は [5] より引用)

これまでに述べたルールは,上図のように盤面全体の状態を1つの式で表せます。

「量子囲碁」のルール説明(4/4)

Other Rules(募集)

  1. 石が数ターンごとに近傍の点にランダムウォークさせる
  2. 数ターン後に白か黒に収束するような灰色の石を打つ
    • プレイヤーは b6 / w6 のみを打てるとして,下図のようなマルコフ連鎖を考える
      height:200
    • b9 / w9 を 10 個だけ持たせてもよい
  3. 碁盤の大きさを不確定的にできるらしい(大橋拓文プロ談)
  4. その他募集中

「量子囲碁」にかかわる問題(募集)

  • どのルールが最適か?
    • 最適とは何か?
  • 適切なコミ(後手の不利を解消するために与えられる仮想的な石)はいくらか?
  • 量子的アルゴリズムが計算量に利くような問題か?
  • 計算量を気にしない場合,解決できる問題に落とし込めるか?
  • 眼形の解析
  • ヨセの解析
  • ダメ数の解析
  • その他

参考文献

[1] 池田敏雄「囲碁ルールについて」1969年,富士通

(サイトでも閲覧可能 http://harryfearnley.com/go/ikeda/index-j.html)

[2] 王銘琬「世界の囲碁ルール」2014年,日本棋院

(純碁のルールはサイトでも閲覧可能 http://jungo.go-en.com/rule.html)

[3] 「日本囲碁規約」1989年,日本棋院,関西棋院

(サイトでも閲覧可能 https://www.nihonkiin.or.jp/match/kiyaku/zenbun.html)

[4] 清 愼一, 川嶋 俊明「探索プログラムによる四路盤囲碁の解」2000年,情報処理学会研究報告,pp69-76,情報処理学会

[5] A. Ranchin, "Quantum Go", 2016

(Available: https://arxiv.org/pdf/1603.04751.pdf)

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